関西石ころ旅シリーズ。
関西ではありませんが、前回の石ころ記事。
京都府亀岡市の西部にある半国山は、ハイキングコースもあり、入りやすい山です。赤熊という集落から入って30分程度歩くと、白い石がごろごろ転がっている場所がありました。白いのは酸性岩が多いからです。
産総研の地質図幅「園部地域の地質」によると、このあたりは「有馬層群」の一部をなす「瑠璃渓層」とよばれる地層群です。九州~中国~近畿北西部で中生代に大規模な火山活動があり、その1つとしてこのあたりでは後期白亜紀(7000万年前)に噴出。流紋岩質の火砕流が起こりました(下記に溶結凝灰岩サンプル)。ここにはさらに流紋岩・安山岩の岩脈が貫入しています(下記に流紋岩サンプル)。現地で未確認ですが、この岩脈により接触変成作用を受けてホルンフェルス化した岩相もあるようです。
たまたま近くを通りかかっただけなので、もともと石ころを見る予定はありませんでした。なので袋がなく、2つだけ拾って帰りました。
流紋岩質溶結凝灰岩(Rhyolitic Welded Tuff)
溶結凝灰岩とは火砕流(pyroclastic flow)などに含まれる火山灰(volcanic ash)などの噴出物が熱でのびて結合し、固く圧縮されてできたものです。見た目の特徴としては、軽石(pumice)がレンズ上に引き延ばされたようなものが入っています。下写真の茶色いやつがそうです。全体的に白く、地質図による下調べのとおり、流紋岩質であろうと判断できます。
割ってみて中身を見たら下のような感じ。自形や角張った破片状の鉱物が見えています。
下で紹介する流紋岩(火山岩なので溶岩が起源)とは違い、火山砕屑物(pyroclastic rock)が固まったものなので「火砕岩」に分類されます。普通の凝灰岩に比べて、表面の感じが流紋岩に似ているのですが、先ほど述べた「引き延ばされた軽石」があることで溶結凝灰岩と判別できます。
流紋岩(rhyolite)
次のサンプルはこちら。
石基が緻密で斑晶が非常に少ないものの、黒雲母と長石が判別できます。なので流紋岩のようですが、横から見たときの層みたいなのはなんだろう?2枚目の写真は割ったときの断面です。
流紋岩はマグマのときに粘り気が強かったため、流れるような模様ができて固まることがあります(流理構造)。この岩石はまさにそうなのでしょうか。私の力ではこれが流理なのか、それとも火山灰などの層なのかよくわかりません。いや、はっきりしないけれども、破片状の粒がないので火山岩でよさそうな感じがします。つまり流紋岩です。また、あくまで参考ですが地質図幅の解説書によると半国山山頂で流理が顕著な流紋岩が見つかっており、褐色と灰色の1mmあるいはそれ以下の幅の縞があるというのです(流紋岩マグマの貫入)。写真はモノクロなのでこのサンプルと同じか分かりませんが、特徴が合致している気がします。よって流紋岩と判定しました。
まあ溶岩として冷え固まるか、固体として吹っ飛んだかの違いで、元は同じようなものといえばそうです。
石ころを見ただけで大規模な火砕流がかつて存在したことが分かるなんて、ロマンがありますね。今回は通りがかりに寄っただけだったので、また行く機会があったら事前に文献で調べ、広範囲を散策したいと思います。
参考文献は地質調査所「園部地域の地質」(平成3年)です。少し古い資料かもしれませんが、これくらいの難易度が私にはあっています。
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