高校物理の超簡単な実験シリーズ。コンデンサーは、その電気容量に応じて電気をためることができます。前回は単純に充電と放電をするだけでしたが、今回は充電中の電流値の変化や、充電した電気量を検討してみましょう。

小さな電流を計らないといけないのがネックかも。
準備物:乾電池2本(または電圧電源装置)、電圧計、スイッチ、マイクロアンペア電流計、コンデンサー(例:470μF)、抵抗(例:100kΩ)、ストップウォッチ(スマホあれば不要)、グラフ用紙、ほか回路を作るのに必要な部材
電圧計は電源の電圧を計るためなので、電源電圧が正確に分かっている場合は不要です。マイクロアンペア電流計は調べてみると2000円くらいのもあるらしい。
電池、スイッチ、電流計、コンデンサ、抵抗を直列につなぎましょう。
スイッチを入れた瞬間(時刻 $t=0$)に最大の電流が流れます。電池の電圧 $E$、抵抗 $R$ であれば$$I_{\mathrm{max}}=I(0)=\frac{E}{R}$$です。$E=3.0$[V] , $R=1.0×10^5$[Ω] なら $0.030$ mAです。
またコンデンサーの電気容量 $C$ とすると時定数は $$\tau=RC$$です。$C=4.7×10^{-4}$[F] であれば $\tau=47$[sec] となります。電流の時間変化を調べるのに現実的な時定数です。コンデンサや抵抗の値を選定するときには時定数を気にかけましょう。
スイッチを入れると充電が開始されます。開始と同時にストップウォッチをONにして電流計とにらめっこします。5秒ごとに電流計の値を読んでメモするか、グラフにプロットしていきましょう。けっこうあわただしくなるので、スマホで電流計の動画を撮っておいて、あとでその動画を見ながら作業してもいいでしょう。ただ、開始直後は電流計の針がグイッと上がりきるまでは正確な値を示しません。なのでプロット開始時刻は5secとなり、あとで外挿することになります。
さてプロットを終えると、右肩下がりのグラフができあがります。電流値の減衰が指数関数的であることが見て取れます。EXCEL等のソフトで $y=Ae^{-Bx}$ のフィッティングができる場合は、このグラフの式を作ることができます。
またグラフ用紙においては、減衰曲線の下にあるマス目の数を数えることで面積(定積分)を求めることができます。この面積がコンデンサに蓄えられた電気量になります。ただしフィッティングでグラフの式が分かっている場合は、それを積分したら電気量が簡単に求まります。そして得られた電気量が $CV$ に等しいかを確かめてもいいでしょう(この $V$ はコンデンサにかかる電圧で $V=E-RI(t)$)。
以上が実験の簡単な内容です。電源電圧を変えたり、$R$ や $C$ を変えてみたりして繰り返すと面白いと思います。
今回のRC直列回路では電流計が示す電流 $I(t)$ に関する方程式$$E=RI(t)+\frac{1}{C}Q(t)$$ただしコンデンサーの電気量 $Q(t)$ は $I(t)$ の積分です。両辺を微分して$$0=RI'(t)+\frac{1}{C}I(t)$$変数分離によって解くと$$\begin{cases}I(t)&=\dfrac{E}{R}e^{-\frac{1}{RC}t}\\Q(t)&=CE\left(1-e^{-\frac{1}{RC}t}\right)\end{cases}$$これより時定数 $RC$ は電流値がはじめの $1/e$ になる時刻を示しますので、電流値が落ちていくタイムスケールをざっくり見積もるのに役立ちます。
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