y'=(Ax+By+E)/(Cx+Dy+F)の形の微分方程式

非線型微分方程式シリーズ。前回はこちら:

1階の同次形微分方程式(非線型)

テーマ

$$\frac{dy}{dx}=\frac{Ax+By+E}{Cx+Dy+F}$$の形の微分方程式を解く。

変数変換で簡単な同次形にする

\begin{equation}\frac{dy}{dx}=\frac{Ax+By+E}{Cx+Dy+F}\tag{0}\end{equation}ただし\begin{equation}AD-BC\neq 0\tag{0a}\end{equation}としておきます。

$h$ , $k$ を定数とします。$x,y$ の代わりに変数を $t,w$ とし\begin{equation}x=t+h\quad,\quad y=w+k\tag{1}\end{equation}と定めます。$dx=dt$ , $\frac{dy}{dt}=\frac{dw}{dt}$ なので(0)は\begin{equation}\frac{dw}{dt}=\frac{At+Bw+Ah+Bk+E}{Ct+Dw+Ch+Dk+F}\tag{2}\end{equation}となります。(2)の分母分子の定数項がともにゼロであれば前回記事の方法で解けることになりますから、\begin{equation}\begin{cases}Ah+Bk+E&=0\\Ch+Dk+F&=0\end{cases}\tag{3}\end{equation}になるように $h,k$ を定めるとよいです。つまり\begin{equation}\begin{pmatrix}h\\k\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}A & B\\C & D\end{pmatrix}^{-1}\begin{pmatrix}-E\\ -F\end{pmatrix}\tag{4}\end{equation}\begin{equation}\therefore\begin{pmatrix}h\\k\end{pmatrix} =\frac{1}{AD-BC}\begin{pmatrix}-DE+BF\\ CE-AF\end{pmatrix}\tag{5}\end{equation}よって(2)より、方程式(0)に対して(5)のように定数 $h,k$ を定めると\begin{equation}\frac{dw}{dt}=\frac{At+Bw}{Ct+Dw}\tag{6}\end{equation}に帰着します。これは同次形微分方程式です。

解を求める

(6)の変数を改めて\begin{equation}\frac{dy}{dx}=\frac{Ax+By}{Cx+Dy}\tag{7}\end{equation}としておきましょう。$y=vx$ として(7)は$$v'x+v=\frac{A+Bv}{C+Dv}$$したがって$$\frac{C+Dv}{A+(B-C)v-Dv^2}dv=\frac{dx}{x}$$と変数分離ができます。最終的に\begin{equation}\int\frac{C+Dv}{A+(B-C)v-Dv^2}dv=\ln cx\tag{8}\end{equation}を得ます。左辺の積分は初等的に実行できます。これで解けた。

さて、(0a)の条件を課していましたが、$AD-BC=0$ の場合はどうでしょう。方程式(0)に対して $u=Ax+By$ として $u'=A+By'$ ですから\begin{align*}\frac{u'-A}{B}&=\frac{Ax+By+E}{Cx+Dy+F}\\&=\frac{Ax+By+E}{\frac{C}{A}(Ax+\frac{AD}{C}y)+F}\\&=\frac{Ax+By+E}{\frac{C}{A}(Ax+By)+F}\\&=\frac{u+E}{\frac{C}{A}u+F}\end{align*}整理して\begin{equation}\frac{du}{dx}=A\frac{(B+C)u+BE+AF}{Cu+AF}\tag{9}\end{equation}(9)は変数分離によって解くことができます。

例題に挑戦

例1

$$\frac{dy}{dx}=\frac{3x-y+1}{x+y+1}$$

(4)に従って $h=k=-1/2$ となるから $x=t-1/2$ , $y=w-1/2$ と置換することで$$\frac{dw}{dt}=\frac{3t-w}{t+w}$$$w(t)=v(t)t$ なる置換により$$\frac{1+v}{3-2v-v^2}dv=\frac{dt}{t}$$よって$$\ln(3-2v-v^2)=-2\ln t+c_0$$変数を戻して$$\ln(3t^2-2tw-w^2)=c_0$$さらに変数を戻して$$3x^2-y^2-2xy+2x-2y=c$$ただし $c=e^{c_0}$.

例2

$$\frac{dy}{dx}=\frac{x+2y+3}{3x+2y+4}$$

$x=t-1/2$ , $y=w-5/4$ と置換することで$$\frac{dw}{dt}=\frac{t+2w}{3t+2w}$$$w(t)=v(t)t$ なる置換により$$\frac{3+2v}{1-v-2v^2}dv=\frac{dt}{t}$$よって$$\ln\frac{1+v}{(1-2v)^4}=3\ln t+c_0$$変数を戻して$$\frac{x+y+\frac{7}{4}}{(x-2y-2)^4}=c$$ただし $c=e^{c_0}$.

参考文献

[1] H.T.Davis (1960), Introduction to nonlinear differential and integral equations, U.S. Atomic Energy Commission

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