ルジャンドル関数の基礎4~漸化式

前回はこちら:

ルジャンドル関数の基礎3~微分係数の特殊値について

今回は第1種ルジャンドル関数 $P_\nu(z)$ の漸化式について解説します。

テーマ

\begin{align} & P'_{\nu+1}(z)-zP'_\nu(z)=(\nu+1)P_\nu(z)\tag{a}\\& (\nu+1)P_{\nu+1}(z)=(2\nu+1)zP_\nu(z)-\nu P_{\nu-1}(z)\tag{b}\\& zP'_\nu(z)=\nu P_\nu(z)+ P'_{\nu-1}(z)\tag{c}\\& P'_{\nu+1}(z)-P'_{\nu-1}(z)=(2\nu +1) P_\nu(z)\tag{d}\\& (z^2-1)P'_{\nu}(z) =\nu z P_\nu(z)-\nu P_{\nu-1}(z)\tag{e}\end{align}

1つめの漸化式

定義をおさらいしましょう。

定義1

第1種ルジャンドル関数を次で定義する。$$P_\nu(z)=\frac{1}{2\pi i}\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{2^\nu(t-z)^{\nu+1}}dt\quad(\nu\in\CC\;,\, z\neq -1)$$ただし経路 $C$ は $1,z$ を時計回りに囲むが $-1$ は囲まない.

$\nu$ が非整数の場合、$t$ 平面には $1$ と $z$ を結ぶ切断、$-1$ と $-\infty$ を結ぶ切断を入れる.

$\nu$ は整数に限りません

簡単な微分の等式を確認します:\begin{equation}\frac{d}{dt}\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^\nu}=\frac{2t\nu (t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^\nu}-\frac{\nu(t^2-1)^\nu}{(t-z)^{\nu+1}}\tag{1}\end{equation}定義1の積分経路 $C$ を考えます。過去記事でもみたように $\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^\nu}$ は(一見すると分岐点があって周回積分できないものの)$C$ を回りきったときに連続であることから、(1)の両辺を積分すると左辺はゼロとなるため$$0=2\nu\oint_C\frac{t(t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^{\nu}}dt-\nu\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^{\nu+1}}dt$$$\nu\neq0$ であれば $\nu$ で割って$$0=2\oint_C\frac{t(t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^{\nu}}dt-\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^{\nu+1}}dt$$となりますが、この式は $\nu=0$ でも成立します。右辺第1項で $t=t-z+z$ を用いて$$0=2\oint_C\frac{(t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^{\nu-1}}dt+2z\oint_C\frac{(t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^\nu}dt-\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^{\nu+1}}dt$$これと定義1を比較することで\begin{equation}P_{\nu}(z)-zP_{\nu-1}(z)=\frac{1}{2\pi i}\oint_C\frac{(t^2-1)^{\nu-1}}{2^{\nu-1}(t-z)^{\nu-1}}dt\tag{2}\end{equation}添え字を1つ足しておきます。\begin{equation}P_{\nu+1}(z)-zP_{\nu}(z)=\frac{1}{2\pi i}\oint_C\frac{(t^2-1)^{\nu}}{2^{\nu}(t-z)^{\nu}}dt\tag{3}\end{equation}(3)の両辺を $z$ で微分すると次を得ます。

\begin{equation}P'_{\nu+1}(z)-zP'_\nu(z)=(\nu+1)P_\nu(z)\tag{4}\end{equation}

2つめの漸化式

(1)の左辺の周回積分がゼロであったことと同様に\begin{equation}\oint_C\frac{d}{dt}\left(\frac{t(t^2-1)^\nu}{(t-z)^\nu}\right)dt=0\tag{5}\end{equation}(5)の積分内の微分を実行すると\begin{equation}\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^\nu}dt+2\nu\oint_C\frac{t^2(t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^\nu}dt-\nu\oint_C\frac{t(t^2-1)^\nu}{(t-z)^{\nu+1}}dt=0\tag{6}\end{equation}左辺の第2項で $t^2=(t^2-1)+1$ , 第3項で $t=(t-z)+z$ と変形すれば\begin{equation}(\nu+1)\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^\nu}dt+2\nu\oint_C\frac{(t^2-1)^{\nu-1}}{(t-z)^\nu}dt-\nu z\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{(t-z)^{\nu+1}}dt=0\tag{7}\end{equation}定義1より\begin{equation}\frac{\nu+1}{2\pi i}\oint_C\frac{(t^2-1)^\nu}{2^\nu(t-z)^\nu}dt+\nu P_{\nu-1}(z)-\nu zP_\nu(z)=0\tag{8}\end{equation}(8)の積分は(2)より$$P_{\nu+1}(z)-zP_{\nu}(z)=\frac{1}{2\pi i}\oint_C\frac{(t^2-1)^{\nu}}{2^{\nu}(t-z)^{\nu}}dt$$が使えますので最終的に

\begin{equation}(\nu+1)P_{\nu+1}(z)-(2\nu+1)zP_\nu(z)+\nu P_{\nu-1}(z)=0\tag{9}\end{equation}

3つめの漸化式

(9)を微分すると $P'_{\nu+1}(z)$ が現れますが(4)によりこれを消すと$$-\nu zP'_\nu(z)+\nu^2 P_\nu(z)+\nu P'_{\nu-1}(z)=0$$両辺を $\nu$ で割って次式(10)を得ます。なお(10)は $\nu=0$ でも成立しています。

\begin{equation} zP'_\nu(z)=\nu P_\nu(z)+ P'_{\nu-1}(z)\tag{10}\end{equation}

4つめの漸化式

(4)と(10)を足すと次を得ます。

\begin{equation} P'_{\nu+1}(z)-P'_{\nu-1}(z)=(2\nu +1) P_\nu(z)\tag{11}\end{equation}

5つめの漸化式

(4)の $\nu$ を $\nu-1$ に変えて、$$P'_{\nu}(z)-zP'_{\nu-1}(z)=\nu P_{\nu-1}(z)$$これと(10)$\times z$ の辺々をひいて

\begin{equation} (z^2-1)P'_{\nu}(z) =\nu z P_\nu(z)-\nu P_{\nu-1}(z)\tag{12}\end{equation}

練習問題に挑戦

問題1

$$\frac{d}{dz}\left[z(P_\nu^2+P_{\nu+1}^2)-2P_\nu P_{\nu+1}\right]=(2n+3)P_{\nu+1}^2-(2\nu+1)P_\nu^2$$を示せ。

左辺の微分を実行すると$$LHS=P_\nu^2+P_{\nu+1}^2+2P_\nu \underbrace{(zP'_\nu -P'_{\nu+1})}_{(A)}+2P_{\nu+1}\underbrace{(zP'_{\nu+1} -P'_{\nu})}_{(B)}$$(A)に(4)式を、(B)に(10)式を適用すると証明完了。

問題2

ルジャンドル多項式の導関数を、ルジャンドル多項式の線形結合で表したい。

$m\in\NN$ のとき次を示せ。\begin{align}P'_{2m}(z) &=\sum_{k=1}^m(4k-1)P_{2k-1}(z)\tag{13}\\P'_{2m-1}(z) &=\sum_{k=1}^m(4k-3)P_{2k-2}(z)\tag{14}\end{align}

(11)を繰り返し用いて得られる。

問題3

$m,n\in\NN$ , $m\le n$ であり、かつ $n-m$ が偶数のとき、次を示せ。\begin{equation}\int_{-1}^1\frac{dP_m}{dz}\frac{dP_n}{dz}dz=m(m+1)\tag{15}\end{equation}

$m,n$ がともに奇数か、ともに偶数かに限られる。ともに偶数の場合は問題2によって$$\int_{-1}^1\frac{dP_{2m}}{dz}\frac{dP_{2n}}{dz}dz=\sum_{k=1}^m\sum_{l=1}^n(4k-1)(4l-1)\int_{-1}^1 P_{2k-1}(z)P_{2l-1}(z)dz$$直交性により $l=k$ のケースのみ足し合わせればよい。$$\int_{-1}^1\frac{dP_{2m}}{dz}\frac{dP_{2n}}{dz}dz=\sum_{k=1}^m(4k-1)^2\frac{2}{4k-1}$$この右辺を計算するとよい。$m,n$ がともに奇数の場合も同じ。

参考文献

[1] Whittaker, E. T., & Watson, G. N. (2021). A course of modern analysis. Cambridge University Press.

第5版です。いわずと知れた名著。特殊関数にかなりのページを割いています。

次回について

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