前の記事:
調和数を HnHn とする。このとき次の積分公式が成立する。∫x0ln2uln2(1−u)udu=−4Li5(x)+4Li4(1−x)lnx−4Li4(x)lnx−4Li4(xx−1)lnx+4Li3(x)lnxln(1−x)−2Li3(1−x)ln2x+2Li2(1−x)ln2xln(1−x)+ln3xln2(1−x)+23ln2xln3(1−x)−16lnxln4(1−x)−2ζ(2)lnxln2(1−x)+2ζ(3)ln2x−4ζ(4)lnx−4ζ(3)lnxln(1−x)+4∞∑n=1Hnn4xn
さらに特殊値として次を得る。∫10ln2uln2(1−u)udu=8ζ(5)−4ζ(2)ζ(3)∫120ln2uln2(1−u)udu=4Li5(12)+18ζ(5)+4Li4(12)ln2+74ζ(3)ln22−23ζ(2)ln32−2ζ(2)ζ(3)−ln5215
系として次の式を得る。
∫120ln2uln2(1−u)1−udu=−4Li5(12)+638ζ(5)−4Li4(12)ln2−74ζ(3)ln22+23ζ(2)ln32−2ζ(2)ζ(3)+ln5215
∫10ln2xln2(1+x)1+x=8Li5(12)−338ζ(5)+8Li4(12)ln2+72ζ(3)ln22−43ζ(2)ln32−2ζ(2)ζ(3)+4ln5215
∞∑n=1Hnn42n=2Li5(12)+132ζ(5)+Li4(12)ln2−ζ(4)8ln2+ζ(3)2ln22−ζ(2)6ln32−12ζ(2)ζ(3)+ln5240
Euler sumを計算する途中で補題として必要になった積分です。ごちゃごちゃしていますが、素直に計算するだけです。
冒頭の最上部にある積分は変数 x を使って一般性を持たせていますが、この状態だとweight5の級数である ∑∞n=1Hnn4xn が残ってしまって具合が悪いです。この級数は、一般にはゼータ関数や多重対数関数で閉じた形では表現できないようです。しかし x=±1 や 1/2 などではうまく表現することができるので、それを用いて系となる式を導出します。
冒頭の積分は、まず部分積分をして∫x0ln2uln2(1−u)udu=13ln3xln2(1−x)+23∫x0ln3uln(1−u)1−uduここで過去記事で得た等式∞∑n=1Hnxn=−ln(1−x)1−xを用いると∫x0ln2uln2(1−u)udu=13ln3xln2(1−x)−23∞∑n=1Hn∫x0unln3udu右辺の積分は、繰り返し部分積分をすることにより∫x0unln3udu=xn+1n+1ln3x−3xn+1(n+1)2ln2x+6xn+1(n+1)3lnx−6xn+1(n+1)4したがって∫x0ln2uln2(1−u)udu=13ln3xln2(1−x)−23ln3x∞∑n=1Hnn+1xn+1+2ln2x∞∑n=1Hn(n+1)2xn+1−4lnx∞∑n=1Hn(n+1)3xn+1+4∞∑n=1Hn(n+1)4xn+1右辺に4つの級数が現れています。先ほどの過去記事から∞∑n=1Hnn+1xn+1=12ln2(1−x)および∞∑n=1Hn(n+1)2xn+1=12[lnxln2(1−x)+2ln(1−x)Li2(1−x)−2Li3(1−x)+2ζ(3)]を(2)へ適用することができます。ただし Lis(x) はポリログです。
また当ブログでは証明を未記載ですが、例えば Stewart(2020) によると∞∑n=1Hnn3xn=2Li4(x)+Li4(xx−1)−Li4(1−x)−ln(1−x)Li3(x)+124ln4(1−x)−16lnxln3(1−x)+ζ(2)2ln2(1−x)+ζ(3)ln(1−x)+ζ(4)です。(5)の左辺で Hn=Hn−1+1n とすることで∞∑n=1Hn(n+1)3xn+1=Li4(x)+Li4(xx−1)−Li4(1−x)−ln(1−x)Li3(x)+124ln4(1−x)−16lnxln3(1−x)+ζ(2)2ln2(1−x)+ζ(3)ln(1−x)+ζ(4)同様にすると∞∑n=1Hn(n+1)4xn+1=∞∑n=1Hnn4xn−Li5(x)最後に(3)(4)(6)(7)を(2)へ適用して
∫x0ln2uln2(1−u)udu=−4Li5(x)+4Li4(1−x)lnx−4Li4(x)lnx−4Li4(xx−1)lnx+4Li3(x)lnxln(1−x)−2Li3(1−x)ln2x+2Li2(1−x)ln2xln(1−x)+ln3xln2(1−x)+23ln2xln3(1−x)−16lnxln4(1−x)−2ζ(2)lnxln2(1−x)+2ζ(3)ln2x−4ζ(4)lnx−4ζ(3)lnxln(1−x)+4∞∑n=1Hnn4xn
これまでの過去記事の知見を使うことで、たやすく複雑な式を導出できました。
定理1に x=1 を代入すると∫10ln2uln2(1−u)udu=−4ζ(5)+4∞∑n=1Hnn4こちらで求めた公式∞∑n=1Hnn4=3ζ(5)−ζ(2)ζ(3)を用いれば次の系を得ます。
∫10ln2uln2(1−u)udu=8ζ(5)−4ζ(2)ζ(3)
定理1に x=1/2 を代入したいのですが、∞∑n=1Hnn42n の値が分からないので計算できません。そこで Xu(2017)を参考にした方法を紹介します。求める積分を I:=∫120ln2uln2(1−u)uduとしておきます。
唐突ながら交代級数 ∞∑n=1(−1)n−1Hnn4 を考えます。これは以前の記事で∞∑n=1(−1)n−1Hnn4=5932ζ(5)−12ζ(2)ζ(3)と求まっています。一方これを積分で表現するために次のように変形します。まず∫10xn−1ln3xdx=−6n4であることを利用します。(11)は部分積分を繰り返すと導けます。したがって∞∑n=1(−1)n−1Hnn4=16∞∑n=1(−1)nHn∫10xn−1ln3xdx(1)で x→−x とすることにより=−16∫10ln3xln(1+x)x(1+x)dx分母が2つの因数で成っていますので、部分分数分解をして片方に部分積分を行います。∞∑n=1(−1)n−1Hnn4=16∫10ln3xln(1+x)1+xdx+124∫10ln4x1+xdx右辺の1つ目の積分には y=1+x のち u=1/y と置換、2つ目の積分では 11+x を級数展開して部分積分しまくります((11)式の4乗バージョン)。すると=−16∫112ln3(1−xx)lnxxdx−Li5(−1)第1項は ln3(1−xx) を3次式として展開し、第2項はポリログの特殊値なのでゼータ関数で表現できます。すなわち∞∑n=1(−1)n−1Hnn4=−16∫112lnxln3(1−x)xdx+12∫112ln2xln2(1−x)xdx−12∫112ln3xln(1−x)xdx+16∫112ln4xxdx+1516ζ(5)右辺の4つ目の積分は初等的に計算できます。∫112ln4xxdx=15ln52また3つ目の積分は過去記事で示した∫120lnuln3(1−u)1−udu=6ζ(5)−6Li5(12)−6Li4(12)ln2−218ζ(3)ln22+ζ(2)ln32において x=1−u と置換したものです。
(12)の右辺の2つ目の積分は(9)より∫112ln2xln2(1−x)xdx=8ζ(5)−4ζ(2)ζ(3)−I(12)の右辺の1つ目の積分は、部分積分をして x→1−x と置換することにより∫112lnxln3(1−x)xdx=12ln52+32I
(13)~(16)を(12)に代入し、(10)も併せると I が見事に求まります。すなわち
∫120ln2uln2(1−u)udu=4Li5(12)+18ζ(5)+4Li4(12)ln2+74ζ(3)ln22−23ζ(2)ln32−2ζ(2)ζ(3)−ln5215
(15)より直ちに次を得ます。
∫120ln2uln2(1−u)1−udu=−4Li5(12)+638ζ(5)−4Li4(12)ln2−74ζ(3)ln22+23ζ(2)ln32−2ζ(2)ζ(3)+ln5215
またJ:=∫10ln2xln2(1+x)1+xで u=x1+x と置換することによってJ=∫120ln2uln2(1−u)−2lnuln3(1−u)+ln4(1−u)1−uduとなります。3つの項で成りますが、第1項は系4そのもの、第2項は(14)そのもの、第3項は初等的です。したがって
J=8Li5(12)−338ζ(5)+8Li4(12)ln2+72ζ(3)ln22−43ζ(2)ln32−2ζ(2)ζ(3)+4ln5215
定理1で x=1/2 としましょう。すると次の級数公式を得ます。
∞∑n=1Hnn42n=2Li5(12)+132ζ(5)+Li4(12)ln2−ζ(4)8ln2+ζ(3)2ln22−ζ(2)6ln32−12ζ(2)ζ(3)+ln5240
S.M.Stewart, Explicit evaluation of some quadratic Euler-type sums containing double-index harmonic series,(2020)
C.Xu, Evaluations of Euler type sums of weight ≤ 5, (2017)
Cornel Ioan Vălean, "(Almost) Impossible Integrals, Sums, and Series"(下記)
本記事で参照したのは Cornel Ioan Vălean, "(Almost) Impossible Integrals, Sums, and Series" です。めちゃくちゃ難しい積分が目白押しで楽しいです。

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