前回:
logを含む難しい積分11(調和数とEuler sumの利用)
From @integralsbot:
I:=∫10ln(1−x)√x−x3dx=Γ2(14)4√2π(ln2−π)
上を示すための補題として
∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(1+15+⋯+14n−3)=Γ2(14)8√2πln2∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(13+17+⋯+14n−1)=Γ2(14)16√2πln2∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(1+13+⋯+14n−1)=3Γ2(14)16√2πln2
積分botで提示された式を導出しました。複素解析がよさそうですが、うまくいかなかったので級数に変形して考えることにしました。すると超幾何関数の微分を応用できることが分かりました。
前提知識を要しますが、その部分は過去記事へのリンクを貼ることで補完します。
I の積分を級数に直します。まず(1−X)−s=∞∑n=0(s)nn!Xnを利用してI=∞∑n=0(12)nn!∫10x2n−12ln(1−x)dx右辺の積分はベータ関数の微分の形をしていますのでI=∞∑n=0(12)nn!∂B(p,q)∂q|p=2n+12,q=1=∞∑n=0(12)nn!Γ(2n+12)Γ(2n+32)[ψ(1)−ψ(2n+32)]=−2∞∑n=0(12)nn!14n+1[12n+12+12n−12+⋯+112+ψ(12)−ψ(1)]ディガンマ関数の特殊値を代入してI=−4∞∑n=0(12)nn!(4n+1)[1+13+⋯+14n+1−ln2]少し変形します。I=−4∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(H4n−H2n2)−4∞∑n=0(12)nn!(4n+1)2+4ln2∞∑n=0(12)nn!(4n+1)ただし Hn:=1+12+⋯+1n は調和数です(H0=0)。1+13+⋯+14n−1=H4n−H2n2であることが簡単に確認できます。
以下、(1)に現れた3つの級数を考えましょう。
(1)右辺の最終項は、ガウスの超幾何関数を用いて∞∑n=0(12)nn!(4n+1)=2F1[12,1454;1]と表せます。ガウスの超幾何定理によって右辺をガンマ関数で表せば∞∑n=0(12)nn!(4n+1)=Γ2(14)4√2πただしガンマ関数の相反公式を用いました。
(1)右辺の第2項は一般化された超幾何関数を用いて∞∑n=0(12)nn!(4n+1)2=3F2[12,14,1454,54;1]この右辺はwell-poisedですのでDixonの定理3F2[a,b,c1+a−b,1+a−c;1]=Γ(1+a2)Γ(1+a−b)Γ(1+a−c)Γ(1+a2−b−c)Γ(1+a)Γ(1+a2−b)Γ(1+a2−c)Γ(1+a−b−c)を使えることを見抜けます。a=1/2 , b=c=1/4 として∞∑n=0(12)nn!(4n+1)2=√πΓ2(14)16√2
(1)右辺の第1項が残されています。S:=∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(H4n−H2n2)あるいは次のように書き下せます。S=∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(1+13+⋯+14n−1)これを2つに分割します。S=S1+S2S1:=∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(1+15+⋯+14n−3)S2:=∞∑n=1(12)nn!(4n+1)(13+17+⋯+14n−1)
過去記事で得た、超幾何関数のパラメータによる微分を利用した公式∞∑n=1(c)n(ν)n(λ)nn![ψ(c+n)−ψ(c)]=Γ(λ)Γ(λ−ν−c)Γ(λ−c)Γ(λ−ν)(ψ(λ−c)−ψ(λ−ν−c))および∞∑n=1(a)n(b)n(c)n(1+a−b)n(1+a−c)nn![ψ(c+n)−ψ(c)+ψ(1+a−c+n)−ψ(1+a−c)]=Γ(1+a2)Γ(1+a−b)Γ(1+a−c)Γ(1+a2−b−c)Γ(1+a)Γ(1+a2−b)Γ(1+a2−c)Γ(1+a−b−c)×[−ψ(1+a−c)−ψ(1+a2−b−c)+ψ(1+a2−c)+ψ(1+a−b−c)](9)は超幾何定理を、(10)はDixonの定理を微分したものです。
(9)において c=14 , λ=54 , ν=12 とすると∞∑n=1(14)n(12)n(54)nn![ψ(14+n)−ψ(14)]=√πΓ(54)Γ(34)(ψ(1)−ψ(1/2))両辺を変形・計算するとS1=Γ2(14)8√2πln2(10)において a=12 , b=14 , c=34 とおくと∞∑n=1(14)n(12)n(54)nn![2ψ(34+n)−2ψ(34)]=Γ2(54)Γ(34)Γ(14)12π√π(2ψ(1/2)−ψ(3/4)−ψ(1/4))両辺を計算・変形するとS2=Γ2(14)16√2πln2(6)よりS=3Γ2(14)16√2πln2
(3)(5)(13)を(1)へ代入して
∫10ln(1−x)√x−x3dx=Γ2(14)4√2π(ln2−π)
次:
logを含む難しい積分13(Euler-sumの応用,weight5)
Please support me!

記事を気に入って下さった方、「応援してあげてもいいよ」という方がいらっしゃったら15円から可能なので支援していただければ幸いです。情報発信を継続していくため、サーバー維持費などに充てさせていただきます。
ご支援いただいた方は、こちらで確認できます。
◎ Amazonギフトの場合、
Amazonギフト券- Eメールタイプ – Amazonベーシック
より、金額は空白欄に適当に(15円から)書きこんで下さい。受取人は「mamekebiamazonあっとgmail.com」です(あっとは@に置き換えてください)。贈り主は「匿名」等でOKです。全額がクリエイターに届きます。
◎ OFUSEは登録不要で、100円から寄付できます。金額の90%がクリエイターに届きます。
◎ codocは登録不要で、100円から寄付できます。金額の85%がクリエイターに届きます。