Loading [MathJax]/jax/output/CommonHTML/jax.js

x^s・arcsin x の定積分

We consider the integrals that have the product of arcsinx or arccosx and xs besides lnx. The point is that n-times differentiation of xs w.r.t s generates lnnx.

本日のお題はこちらです。

Theme

s>1 における arcsin , arccos に関する積分公式10xsarcsinxdx=π2(s+1)πΓ(s2+1)2(s+1)Γ(s+32)10xslnxarcsinxdx=π2(s+1)2+πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)+πΓ(s2+1)4(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]10xsln2xarcsinxdx=π(s+1)3πΓ(s2+1)(s+1)3Γ(s+32)πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]2+πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]10xsarccosxdx=πΓ(s2+1)2(s+1)Γ(s+32)10xslnxarccosxdx=πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)πΓ(s2+1)4(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]10xsln2xarccosxdx=πΓ(s2+1)(s+1)3Γ(s+32)+πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]+πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]2πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]を導出する。これらに値を代入することにより、例えば次の等式を得る。10arcsinxdx=π2110xarcsinxdx=π810x2arcsinxdx=π62910xarcsinxdx=π3Γ(14)292π10lnxarcsinxdx=2π2ln210xlnxarcsinxdx=π8(ln21)10x2lnxarcsinxdx=727π1829ln210ln2xarcsinxdx=π212+π6+4ln2ln2210xln2xarcsinxdx=π396+316ππ8ln2210x2ln2xarcsinxdx=π254+π27+1427(ln21)29ln22

log混じりの対処法

上の式は非常にややこしく見えます。x の累乗に arcsin さらには ln が混じっているからです。余程すごい置換などのトリックを使うのでしょうか?

しかし実は、高等なテクニックや閃きが生まれなくても、混じった ln を機械的に扱う手法があり、計算は泥臭くなりますが、無難に進めることができます。

本稿の軸となる積分を次で定義します。

I(s):=10xsarcsinxdx(s>1)

log を登場させる常套手段として、これを s で微分します。dIds=10xslnxarcsinxdx繰り返し微分することで次を得ます。

dnIdsn=10xslnnxarcsinxdx

I(s)s の関数として表すことができれば、任意の回数微分して、好きに s を代入することで冒頭のような積分たちを導くことができます。本日の肝はこれで終わりといっていいくらいです。

軸となる関数の導出

では I(s) を求めましょう。(1)で部分積分するとI(s)=π2(s+1)1s+110xs+11x2dxここで次の級数展開を利用します。11X=n=0(2n1)!!n!2nXnすなわちI(s)=π2(s+1)1s+1n=0(2n1)!!n!2n10x2n+s+1dx積分を実行します。I(s)=π2(s+1)1s+1n=0(2n1)!!n!2n(2n+s+2)シグマの中身をポッホハマー記号で書き改めるとI(s)=π2(s+1)1(s+1)(s+2)n=0(s2+1)n(12)nn!(s2+2)nこの総和はガウスの超幾何級数ですのでI(s)=π2(s+1)1(s+1)(s+2)F(s2+1,12,s2+2;1)ガウスの超幾何定理を用いるとI(s)=π2(s+1)1(s+1)(s+2)πΓ(s2+2)Γ(s+32)分子のガンマ関数を少しいじれば以下の等式が導かれます。

I(s):=10xsarcsinxdx=π2(s+1)πΓ(s2+1)2(s+1)Γ(s+32)

あとはこれを好きな回数微分して s に値を入れれば、多くの積分値が得られます。ガンマ関数の中身を見れば、s が非負整数であれば初等的な形で表すことができると分かります。たとえば s=0,1,2 あるいは 1/2 とすれば

10arcsinxdx=π2110xarcsinxdx=π810x2arcsinxdx=π62910xarcsinxdx=π3Γ(14)292π

微分してlogが出現

I(s) を微分すると(2)より

dIds=10xslnxarcsinxdx=π2(s+1)2+πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)+πΓ(s2+1)4(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]

ここで ψ(x) はディガンマ関数です。以下ではディガンマ関数の基本的な式ψ(z+1)=ψ(z)+1zψ(1)=γ,ψ(12)=γ2ln2を押さえておきましょう。詳しくは過去記事

【γ8】ディガンマ関数の特殊値と極

を参照ください。

(8)で s=0,1,2 としてみると

10lnxarcsinxdx=2π2ln210xlnxarcsinxdx=π8(ln21)10x2lnxarcsinxdx=727π1829ln2

意外にシンプルな値になりました。s が整数のときは初等的な計算方法があるのではないかと考えたくなりますね。

2階微分

この調子でさらに(8)を微分して logx の次数が増えます。大変そうですが、ミスなきように気を付けます。

d2Ids2=10xsln2xarcsinxdx=π(s+1)3πΓ(s2+1)(s+1)3Γ(s+32)πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]2+πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]

共通する因子もありますので、適宜くくってもいいでしょう。s=0,1,2 としてみると

10ln2xarcsinxdx=π212+π6+4ln2ln2210xln2xarcsinxdx=π396+316ππ8ln2210x2ln2xarcsinxdx=π254+π27+1427(ln21)29ln22

arccosの場合

arccos でも同様にJ(s):=10xsarccosxdxarcsinx+arccosx=π2 なのでJ(s)=π2(s+1)I(s)よって

J(s):=10xsarccosxdx=πΓ(s2+1)2(s+1)Γ(s+32)

I(s) よりも若干シンプルな式になりました。先にこっちからやればよかったですね。あとは同様に計算するだけです。

1度目の微分により

10xslnxarccosxdx=πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)πΓ(s2+1)4(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]

再度微分します。

10xsln2xarccosxdx=πΓ(s2+1)(s+1)3Γ(s+32)+πΓ(s2+1)2(s+1)2Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]+πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]2πΓ(s2+1)8(s+1)Γ(s+32)[ψ(s+32)ψ(s2+1)]

(16)(17)(18)の s に値を代入すればいろいろな公式を得られます。例えば10xlnxarccosxdx=πln2810xln2xarccosxdx=π396+πln228π16の感じです。

こちらもどうぞ:

x^s・arctan x の定積分

応援のおねがい

Please support me!

まめしば
まめしば

記事を気に入って下さった方、「応援してあげてもいいよ」という方がいらっしゃったら15円から可能なので支援していただければ幸いです。情報発信を継続していくため、サーバー維持費などに充てさせていただきます。

ご支援いただいた方は、こちらで確認できます。

Amazonギフトの場合、
Amazonギフト券- Eメールタイプ – Amazonベーシック
より、金額は空白欄に適当に(15円から)書きこんで下さい。受取人は「mamekebiamazonあっとgmail.com」です(あっとは@に置き換えてください)。贈り主は「匿名」等でOKです。全額がクリエイターに届きます。

OFUSEは登録不要で、100円から寄付できます。金額の90%がクリエイターに届きます。

codocは登録不要で、100円から寄付できます。金額の85%がクリエイターに届きます。

Remaining:
codocの場合

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA