蛇紋岩(Serpentinite)は超塩基性の橄欖岩が（主に外部からの）水と反応して変化してできたものです。見た目としては黒いテカテカな表面に黄緑色の鉱物がべちゃりとついた感じだったり、風化して褐色と黒が蛇の模様みたいに入り乱れていたり、針状・葉状の黒～緑の鉱物がきれいに並んでいたり、アスベスト脈が走っていたりします。
詳しめな説明：
蛇紋岩の構成鉱物は主に蛇紋石で、少量の磁鉄鉱・クロム鉄鉱(スピネル)、ブルース石、滑石や霰石を伴います。橄欖岩中の橄欖石や斜方輝石が水と反応して蛇紋石となるのですが、橄欖石や輝石に入っていた鉄は蛇紋石にはあまり含まれることはできず押し出され、磁鉄鉱となります。蛇紋石にもいくつか種類があり主なものはクリソタイル・リザルダイト・アンチゴライトです。比較的低温（～200℃）下ではクリソタイルやリザルダイトが形成されます。多くは網目状組織をなすものの、斜方輝石が蛇紋石になった場合は斜方輝石の劈開の形が残った仮晶となり(バスタイト)、網目が発達しません。その場合は磁鉄鉱も少なくなります。
また蛇紋岩は高温変成作用を受けることで見た目が変化します（圧力の大小では顕著な変化は起こらない）。温度の低い順から高温になるにつれ、アンチゴライト帯、再結晶橄欖石帯、滑石帯、直閃石帯、斜方輝石帯のように次々と水分を失って変化していくのです。例えば昇温の過程で200～300℃あたりではクリソタイルがアンチゴライトと水滑石（ブルース石）に変化します（ただブルース石はさらに高温になるとペリクレースに変化）。温度が上がって400度くらいになるとアンチゴライトと水滑石はふたたび橄欖石になってしまいます。このようにして蛇紋岩は温度によってさらに変化していくのです。とはいえ、蛇紋石が別の鉱物に変わったら、その岩石はもはや蛇紋岩とはよべないでしょう。さらなる高温で石英とかも出てきますし・・・。
見たほうが早いと思うので、たくさんの写真をどうぞ。
蛇紋岩を構成するおもな鉱物は蛇紋石(serpentine)で、超塩基性岩中の橄欖石や輝石などが変化したものです。蛇紋石にはサブグループがあります。大きく3つに分けるとリザルダイト(lizardite)・アンチゴライト(antigorite)・クリソタイル(chrysotile)です。上の蛇紋岩６では黄緑色のベタリとしたものがついています。見た目からしてリザルダイトです。実験してみたところモース硬度は2.5、条痕色は白であり、リザルダイトの特徴と一致します。
蛇紋岩７は緑色の葉っぱみたいなものが重なっており、非常にもろい。ぽろぽろとれます。見た目からしてアンチゴライトと思われます。条痕は白、モース硬度は3.5でした。アンチゴライトについて調べると条痕は淡緑らしく、結果が合いませんが、本サンプルはかなり風化しており、正しい色がでない可能性もあります。蛇紋石の3種は混ざり合っていることが多く同定が難しいです。
以上の蛇紋岩はどれも蛇紋岩化および風化がかなり進んで非常にもろいです。一般の磁石にもガッツリくっつきますので磁鉄鉱を多く含んでいるということです。サンプル６は比重が2.6くらいで、かんらん岩よりもかなり低いです。
次からの蛇紋岩は、蛇紋岩化が比較的弱く、ずっしりと重いです。磁石の付き方も少し弱め。
11は比重が３もありました。蛇紋岩化が弱い。
[1] 髙橋正樹・石渡明. 火成作用 フィールドジオロジー８. 共立出版 p119-120 [2] 周藤賢治・小山内康人. 記載岩石学 岩石学のための情報収集マニュアル. 共立出版. 2002 , p214-215
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