Jν(z)=1π∫π0cos(νθ−zsinθ)dθEν(z)=1π∫π0sin(νθ−zsinθ)dθと定義するとき、一般化された超幾何関数を用いることで次のように表現できる。Jν(z)=sinνπνπ1F2[11−ν2,1+ν2;−z24]+sinνπ(1−ν2)πz1F2[13−ν2,3+ν2;−z24]Eν(z)=1−cosνπνπ1F2[11−ν2,1+ν2;−z24]−1+cosνπ(1−ν2)πz1F2[13−ν2,3+ν2;−z24]
明確に決まった名前があるかは分かりませんが、英語版Wikipediaによると(1)をAnger関数、(2)をWeber関数といいます(後者は同名の異なる関数があった気がする)。ともにWatson(1966)のChapter10で紹介されています。
第1種ベッセル関数 Jν(x) はSchläefliの積分表示によりJν(z)=1π∫π0cos(νθ−zsinθ)dθ−sinνππ∫∞0e−νt−zsinhtdtと表されます*。ν が整数 n なら右辺の第2項はゼロとなりますのでJn(z)=1π∫π0cos(nθ−zsinθ)dθとなり、(1)の Jν(z) に一致します。ベッセル関数の定義や Jn(z) の積分表示については
をご覧ください。
* Watson, A Treatise On The Theory Of Bessel Functions second edition(1966)のp176より
(1)(2)を級数展開しましょう。加法定理でバラしてJν(z)=1π∫π0cosνθcos(zsinθ)dθ+1π∫π0sinνθsin(zsinθ)dθ Eν(z)=1π∫π0sinνθcos(zsinθ)dθ−1π∫π0cosνθsin(zsinθ)dθ sinx と cosx のマクローリン展開よりJν(z)=1π∞∑m=0(−1)mz2m(2m)!∫π0cosνθsin2mθdθ+1π∞∑m=0(−1)mz2m+1(2m+1)!∫π0sinνθsin2m+1θdθEν(z)=1π∞∑m=0(−1)mz2m(2m)!∫π0sinνθsin2mθdθ−1π∞∑m=0(−1)mz2m+1(2m+1)!∫π0cosνθsin2m+1θdθこの積分が問題となります。ν は実数で m は非負整数です。収束・発散の議論を簡単のため、とりあえず ν∉Z としておきます。
上記、加法定理でばらしたところで、ν が偶数のときは Jν(z) の第2項と Eν(z) の第1項が 0 となります。また ν が奇数のときは Jν(z) の第1項と Eν(z) の第2項が 0 となります。積分区間を半分で分けてみると分かります。
において、複素積分の手法を用いることにより次の公式を得ました。s>0 のとき∫π0sins−1θsinaθdθ=πsinπa22s−1sB(s+a+12,s−a+12)同様にして次の式も成り立ちます。∫π0sins−1θcosaθdθ=πcosπa22s−1sB(s+a+12,s−a+12)(5)の積分へ適用すると∫π0cosνθsin2mθdθ=πcosνπ222m(2m+1)B(2m+2+ν2,2m+2−ν2)=π(2m)!cosνπ222mΓ(m+1+ν2)Γ(m+1−ν2)ガンマ関数をポッホハマー記号で書き換えます。∫π0cosνθsin2mθdθ=π(2m)!cosνπ222mΓ(1+ν2)Γ(1−ν2)(1+ν2)m(1−ν2)m=π(2m)!cosνπ222mν2Γ(ν2)Γ(1−ν2)(1+ν2)m(1−ν2)m=(2m)!⋅2cosνπ2sinνπ222mν(1+ν2)m(1−ν2)m最後はガンマ関数の相反公式を使いました。ここで三角比の倍角の公式から∫π0cosνθsin2mθdθ=(2m)!sinνπ22mν(1+ν2)m(1−ν2)mを得ます。次に(5)の第2項の積分は∫π0sinνθsin2m+1θdθ=πsinνπ222m+1(2m+2)B(2m+3+ν2,2m+3−ν2)=π(2m+1)!sinνπ222m+1Γ(m+3+ν2)Γ(m+3−ν2)=π(2m+1)!sinνπ222m+1Γ(3+ν2)Γ(3−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)m=π(2m+1)!sinνπ222m+11+ν21−ν2Γ(1+ν2)Γ(1−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)m=(2m+1)!⋅2sinνπ2sinπ(1−ν)222m(1−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)m=(2m+1)!⋅sinνπ22m(1−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)mよって∫π0sinνθsin2m+1θdθ=(2m+1)!⋅sinνπ22m(1−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)m(9)(10)を(5)に適用してJν(z)=1π∞∑m=0(−1)mz2m(2m)!(2m)!sinνπ22mν(1+ν2)m(1−ν2)m+1π∞∑m=0(−1)mz2m+1(2m+1)!(2m+1)!⋅sinνπ22m(1−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)m整理しましょう.Jν(z)=sinνπνπ∞∑m=01(1+ν2)m(1−ν2)m(−z24)m+sinνπ(1−ν2)πz∞∑m=01(3+ν2)m(3−ν2)m(−z24)m第1項は z の偶数次の級数、第2項は奇数次の級数であることが分かります。
(6)の積分についてもここまでと同様にして∫π0sinνθsin2mθdθ=(2m)!(1−cosνπ)22mν(1+ν2)m(1−ν2)m∫π0cosνθsin2m+1θdθ=(2m+1)!⋅(1+cosνπ)22m(1−ν2)(3+ν2)m(3−ν2)mを適用するとEν(z)=1−cosνπνπ∞∑m=01(1+ν2)m(1−ν2)m(−z24)m−1+cosνπ(1−ν2)πz∞∑m=01(3+ν2)m(3−ν2)m(−z24)m
これで終わりでも構いませんが、一般化された超幾何級数 pFq を用いると、n!=(1)n であることに留意して
Jν(z)=sinνπνπ1F2[11−ν2,1+ν2;−z24]+sinνπ(1−ν2)πz1F2[13−ν2,3+ν2;−z24]Eν(z)=1−cosνπνπ1F2[11−ν2,1+ν2;−z24]−1+cosνπ(1−ν2)πz1F2[13−ν2,3+ν2;−z24]
と、冒頭の式を得ることができました!例えばE12(1)=2π1F2[134,54;−14]−43π1F2[154,74;−14]ですので∫π0sin(θ2−sinθ)dθ=21F2[134,54;−14]−431F2[154,74;−14]≈0.313のようになります。
(15)(16)の式は ν∉Z では特に問題ありませんが ν∈Z では発散するおそれがあるように見えます。(1)(2)の答えとしてふさわしいか、ざっと確認してみましょう。
ν=0のとき
ν=0 あるいは ν→0 の極限を考えるとJ0(z)=1F2[11,1;−z24]=∞∑m=01m!m!(−z24)mE0(z)=−2πz1F2[132,32;−z24]のように表せます。これらについては(1)(2)の右辺を計算しても同じ結果を得るのでOKです。
例えばJ0(z)=1π∫π0cos(zsinθ)dθで cos を展開すればよい。第1種ベッセル関数 J0(z) と同じ級数表現となる。
νが偶数のとき
ν が自然数の偶数のときを考えます。式の形からして負整数については省略してもよいでしょう。ν=2n とするとJ2n(z)=12nπlimν→2n∞∑m=0sinνπ(1−ν2)m(1+n)m(−z24)m分子に sin があり、その極限は 0 です。なので m<n の項は単純に 0 となります。m≥n の項では、分母に極限がゼロとなる因数が1つ現れます。 (1−ν2)m=(1−ν2)(2−ν2)⋯(n−ν2)⏟goesto0⋯(m−ν2)ここに着目して極限をとるとlimν→2nsinνπn−ν2=−2πしたがってJ2n(z)=−1n∞∑m=n(−z24)m(1−n)(2−n)⋯(n−1−n)×(n+1−n)⋯(m−n)(1+n)m=(−1)nn!∞∑m=n(−z24)m(n+1−n)⋯(m−n)(1+n)mm をずらして、とる和のスタートを 0 からにするとJ2n(z)=(−1)nn!∞∑m=0(−z24)m+nm!(1+n)m+n=∞∑m=0(−1)mm!(m+2n)!(z2)2m+2nこれは第1種ベッセル関数と全く同じ級数です。よって第1種ベッセル関数に等しいことが分かります。よって(15)は ν→2n の極限をとることで成立しているといえます。
一方(16)に関しては、ν=2n とすると第1項の超幾何級数において分母に 0 となる因子が1つ現れます。しかし 1−cosνπ では ν=2n が2位の零点となることから、この項はゼロとなります(まともに極限計算しても分かります)。したがってE2n(z)=−2(1−4n2)πz1F2[13−2n2,3+2n2;−z24]とあらわされます。
νが奇数のとき
ν=2n−1 のときは、(15)の第1項はゼロ、第2項で先ほどと同様な極限計算をします。一方、(16)の第2項はゼロとなります。
以上より(15)(16)は実数 ν において成立します。なお ν が偶数のときは Jν(z) の第2項と Eν(z) の第1項が 0 となります。また ν が奇数のときは Jν(z) の第1項と Eν(z) の第2項が 0 となります。
なお、ここによれば Anger関数とWeber関数はともに整関数であり、全 z 平面で値をとります。
次回はAnger関数とWeber関数が満たす微分方程式や漸化式等を考えていきます。
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